〜介護予防・自立支援に関する高齢者実態調査
第1回 調査報告書ができました

2006年6月〜10月にかけて実施した『介護予防・自立支援に関する高齢者実態調査』報告書がまとまりました。この調査は郵政公社の年賀寄付金配分事業の助成を得て、東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会と市民シンクタンクひと・まち社が共同調査で実施したものです。

T.利用者調査
調査対象者は後期高齢者が88%
 今回の調査は介護予防の対象となる可能性の高い、旧来の要支援、要介護1の介護保険サービス利用者を対象とするもので、調査対象者は東京都在住の162人、うち女性が130人(80%)、年齢は53歳〜99歳で、75歳以上の後期高齢者が143人(88%)を占めます。特定疾病による若年の介護保険サービス利用者が3人います。

高齢者のみの世帯が65%
 家族構成は「単身」74人(46%)を含めた齢者のみの世帯が65% を占めています。この調査では介護度の軽い方を対象としていますので、特に独居高齢者が多くなっているものと思われます。

介護者は娘家族の状況
 介護者は嫁から子どもへという変化がはっきりと現れています。介護者の半数は「子ども」と答え、そのうち「娘」が7割を占めています。配偶者が介護者というケースはもちろんですが、介護する家族も高齢化がすすんでいます。

家族とのコミュニケーション
 「64歳以下の世帯と同居」56人のうち21人(37%)が「日中はほとんど一人で過ごすことが多い」と答えており、「食事を一緒に食べない」13人(23%)、「話をあまりしない」も6人(10%)おり、一緒に住んでいても十分なコミュニケーションのとれていない人もいます。食事、会話、しかられるの3つの質問項目は虐待の早期発見につながることもあるので、そういう視点でコミュニケーションのとり方を見直してみることも必要です。  

日中一人になる時間がありますか

食事は一緒に食べますか





 




よく話をしますか

 

 

 



 

 

 

叱られたり注意されること

 

 

 

 

 

年金収入で生活する人が95%
 年金収入で生活している人が154人(95%)、仕事を持つ人も6人います。男性は年収200〜400万円に60% が集中しているのに対して、女性の方が収入は少ない傾向があります。収入と利用するサービス量は密接な関係がありますので、女性の単身者など低収入者は介護度が重度化しても経済的な理由でサービス利用を手控えることもあります。また、特定疾病によるサービス利用者の場合は収入も年金もなく、経済的な負担は大きくなります。

男女別の世帯収入
 

 

 







サービスの利用状況

 サービス利用の状況はホームヘルプサービスを利用している人が116人(79%)、デイサービス、デイケアの利用者は64人(43%)となっています。介護度別のサービスの利用率は要介護の人より、要支援の人の方がホームヘルプの利用が多くなっています。
 ホームヘルプの内容では「掃除」が圧倒的に多くなっています。要介護者では「身体の清拭・入浴」「身体介護」が増えてきます。
 デイでは筋力トレーニングを半数以上の人が利用しています。
 福祉用具のレンタルについては要支援1・2の人は対象外となっていますが、ベッド10人、車椅子4人が利用しています。移行措置の期間が過ぎると利用ができなくなるので困ると記述している人もいます。
 介護保険以外のサービスでは配食サービス34人(23%)、昼食会10人(7%)と食事サービスを利用する人が多くなっています。困っていることでは「買い物(重いものやかさばる買い物)」70人(43%)、「家の管理」62人(38%)、「お風呂やトイレ掃除」51人(32%)、「外出時の足」40人(25%)をあげています。
 
身体状況介護度別のサービス利用率
 特定高齢者の把握のために使われるチェック項目で健康状況を調査しました。旧来の要支援、要介護1の方が対象者ではありましたが、身体状況は比較的健康なご様子が伺えました。
 介護度にかかわらず、「階段を上がるときに手すりを使う」139人(86%)、「この1年で転倒の経験がある人」67人(41%)で、「転倒に対する不安」は136人(84%)が持っていると答えています。
 外出については130人が「週1回以上の外出をする」と答えていますが、91人(56%)が「昨年より外出の回数が減っている」としています。要介護1・2の35人のうち「バスや電車での外出」ができない人は23人、「日用品の買い物」についても19人が一人では出来ないと答えています。

介護がもっと必要になったら
 今より介護必要になった時、「自宅で公的なサービスを利用して暮らしたい」77人(48%)、「家族を中心に介護してほしい」34人(21%)でした。調査対象者が単身者、高齢者のみの世帯が多いためもあるかと思いますが、介護を家族の仕事と考える人より、公的なサービスをあてにしたいという人が多くなってきています。

U.自治体・地域包括支援センター調査
 
自治体調査については文京区を除く22区26市1町の49自治体の協力で、地域包括支援センターの調査は35自治体で調査を行いました。

介護認定の自治体比較

高齢化率
 高齢化率は台東区の23.15%を筆頭に北区、荒川区、墨田区20%を越える自治体が4自治体あり、低いのは稲城市14.1%、江戸川区、羽村市の15.4%で最高で9%もの開きがあります。

.
直営
委託
1ヶ所当りの人口
世田谷区
27
0
27
30,180
大田区
20
0
20
33,925
港区
5
0
5
40,212
目黒区
5
0
5
49,843
品川区
1
1
0
332,565
渋谷区
7
6
1
28,028
江戸川区
13
0
13
50,840
江東区
4
0
4
108,683
千代田区
2
0
2
23,274
中央区
3
0
3
33,312
新宿区
10
1
9
30,600
中野区
8
1
7
38,596
杉並区
20
0
20
26,421
豊島区
8
3
5
29,582
北区
3
3
0
105,203
荒川区
5
0
5
35,569
板橋区
16
0
16
32,765
練馬区
4
4
0
168,531
足立区
25
0
25
25,820
葛飾区
7
0
7
61,114
台東区
6
0
6
26,517
墨田区
8
0
8
29,406
文京区
4
0
4
45,352
八王子市
12
0
12
44,721
日野市
4
0
4
43,121
狛江市
1
0
1
76,126
三鷹市
4
0
4
42,813
府中市
1
1
0
236,394
多摩市
6
0
6
23,711
稲城市
2
0
2
37,863
調布市
9
0
9
23,701
町田市
15
0
15
27,009
武蔵野市
3
0
3
44,663
小金井市
3
0
3
37,172
国分寺市
1
1
0
113,635
国立市
1
1
0
71,923
小平市
4
0
4
45,054
西東京市
8
0
8
23,911
東久留米市
3
0
3
38,627
清瀬市
1
1
0
73,480
東村山市
5
   
29,365
東大和市
2
0
2
39,989
立川市
6
0
6
28,885
昭島市
3
0
3
37,341
武蔵村山市
3
0
3
22,454
青梅市
3
1
2
46,819
福生市
1
1
0
61,555
羽村市
1
1
0
57,133
あきる野市
1
1
0
80,215
瑞穂町
1
1
0
34,600
合計
157
15
142
      .
 高齢者実態調査
  介護予防制度の開始に向けて意識的に高齢者実態調査をした自治体は少数にとどまっています。稲城市では平成15年から民生員の協力で75歳以上の一人暮らし、高齢者のみの世帯の訪問調査を行い実態とニーズ把握を行った上で、東京都の介護予防推進モデル地区として全高齢者を対象とした調査を行いました。三鷹市でも東京都老人研究所の協力で7つのコミュニティー住区ごとにニーズ調査を行いました。府中市でも早めに介護予防のしくみづくりの検討を行ってきていました。

認定調査会の設置状況
 合議体の数は自治体の規模によって様々ですが、一番多いのは世田谷区と大田区で、60合議体で構成されています。合議体の構成は保健、医療、福祉分野の3〜4人のメンバーで構成されている自治体がほとんどです。
 認定審査の適正化をはかるため、中野区では合議体の委員長を3ヶ月交代、目黒区では委員を6ヶ月ごとに1名交代など、運営上の工夫をしたり、板橋区、中野区ではニュースを発行して委員間の情報の共有をはかるなどの工夫をしています。

介護保険料の徴収
  保険料の徴収については自治体の格差がはっきり出ているといえます。介護保険料の基準額は1ヶ月4000円前後に設定している自治体が多く、最高が町田市、武蔵野市の4700円、最低は小金井市、青梅市の3600円です。介護保険料徴収のための所得階層は4段階を基準額として6〜7段階に分けているところが多く、6段階以上は各自治体とも25%程度となっています。最高の所得段階を年収200万〜500万円位に設定した自治体が多いですが、所得階層を細分化した自治体は6段階以上の人の保険料を収入に応じて徴収するしくみとし、最高は港区で10段階の年収2000万円以上の人から11,250円としており、最高額については自治体によってかなり大きな差になっています。しかし、保険料に応じて充実したサービスが用意されているというところまではいっていないというのが現状のようです。

地域包括支援センタの設置状況
 地域包括支援センターは全部で315設置され、直営が28ケ所、委託が282ヶ所です。すべて直営で運営するのは10自治体、直営と委託の混合型が4自治体、残りはすべて委託で運営しています。当初、地域包括支援センターは人口2万人に1ヶ所といわれましたが、直営のみで運営している自治体では1ヶ所あたりの人口が多くなっています。地域包括支援センターの設置に伴って在宅介護支援センターを廃止した自治体は15ありますが、品川区のように在宅介護支援センターをブランチ機能として連携して活動しているところもあります。

介護予防のメニューの準備状況
 介護予防の栄養改善、口腔機能、運動機能と閉じこもり・うつ予防が基本的なメニューですが、不安を抱えながらスタートした自治体が多く、葛飾区、武蔵野市、東久留米市、福生市など制度の開始にあたって具体的な実施方法を検討中と答えた自治体もありました。自治体独自の介護予防のメニューについては今後の課題です。
地域支援事業については特定高齢者が非常に少ないというのが全自治体での共通した傾向で、後半対象の認定を緩やかにしたり、調布市では一般高齢者にまで広げて実施したという状況にあります。特定高齢者のチェック方法についてはすでに厚生労働省において見直しがはかられています。

地域・市民との連携
 残念ながら市民や地域との連携は考えていないと答えた自治体もありますが、介護予防への取り組みを充実させていくためには、公的なしくみとして整備する事業だけでは不十分であり、インフォーマルな支援も必要と考えている自治体も多くあります。
 世田谷区では介護予防のネットワークづくりを区民とともにすすめることを課題としていますし、杉並区では区民の介護予防サポーター100人を養成し、安心ネットワークの見守りメンバーとしての協力を考えているなど、介護予防を推進するたものサポーター養成や見守りネットワークの充実を考えている自治体もあります。

 


home
 copyright (c)2003-2006
NPO法人市民シンクタンク ひと・まち社  All-Rights Reserved.
 新宿区歌舞伎町2-19-13ASKビル502 03-3204-4342